2007年01月15日

音楽のある環境作り(ピアノ指導において)

某音楽教室をやめて、
自分のお教室を開いたときの私の夢は、
「音楽のある生活」でした。

幼児教育を専門に大学で勉強した私。
何度かここでも話題にしていますが、
幼児教育でのキーワードは「環境作り」でした。
子どもの発達を観察分析→それに合わせた環境を作る。
これが自由保育の流れです。

これをピアノ教育に応用したかった。
そして、西洋に見られる生活に根付いた音楽を目指したかった。
家の中の誰かがピアノを弾き始めると他の誰かが歌い始める。
家族で合奏をして遊ぶ、友達同士で合奏して遊ぶ。
そんな生活に根付いた音楽。

もちろん家族全員が楽器を演奏できる家庭は少ないわけで、
これを完全に形にすることなんて無理なわけだけれど、
それに近づくことはできるはず。

ピアノという楽器はとても孤独な楽器です。
たった一人でピアノに向かい練習をすることがほとんど。
刺激が少ない。

バレエを習っている子は、あんなに辛い練習にも関わらず、
練習しようという意欲に燃えます。
野球もサッカーも!
それは何故?
とても身近に「ああなりたい!」と思える憧れの存在がいるからです。

今教えている子の10年後を想像し、
今どうあるべきなのかを考え、
ピアノ教室のカリキュラムを作成する。
そうやって自分の理想に近づけていく・・・。
私はこの7年間、そうやって過ごしてきたような気がします。

自由保育のピアノ教育への応用は、
とてもとても難しく、どこでどう折り合いをつけたものか悩んだものでした。
幼稚園には教えなければならないことがない。
ピアノ教育には教えなければならないことが山ほどあります。
それは学校教育と同じ悩みなのだろうと感じます。

まず、生活に根付いた音楽を目指すべく、
月に1回のペースで弾きっこ大会を催すことにしました。
運良く近所にスポーツセンターなる安い施設があり、
グランドピアノが置いてあったのです。
健康体育室という名の広いスペースにグランドピアノ、
お菓子を食べながらの演奏会。
気楽に参加できるようにとプログラムは作らず、
弾きたい曲を弾く、というスタンスでやり始めました。

生徒さん同士の交流は、
ピアノの練習の励みになってきたように思います。
私のお教室は発達障害のお子さんが多いのですが、
そういったお子さんのお母さま同士の交流や、
大人の生徒さん同士の交流。
多くの交流がここで生まれた気がします。
月に1回あるということでピアノのある生活が身近になる上、
「あこがれ」の人や曲に出会うきっかけ作りにもなりました。

しかし、身近な憧れと同時にもっと上の憧れの存在も必要です。
サッカーや野球は、しょっちゅうテレビで放映されていますし、
みなさん気楽に試合へ行きます。
でもピアノとなるとそうはいかない。
ピアノを習っていても演奏会へ足を運ぶ人は少数です。

理由は子ども。
弟や妹などの兄弟がいると演奏会へ行きづらい。
未就学児OKの演奏会も少ない。
その上ご両親が演奏会の良さを知らない。

そこで、気軽に聴きに来られる近所の演奏会
ピアノ講師で作っちゃおうと思うに至りました。
それがLa Musique du Soleilです。
この団体のお陰で、私自身多くの実りをいただきました。
すばらしい先生方との出会いに恵まれたからです。

たった1年に1回の演奏会ですが、
生徒さんたちに根付いてくれました。
今まで演奏会へ行こうと思わなかった親御さんが、
「生演奏って楽しいですね!」という感想を持ち、
「演奏会へ行きたい!」と言ってくれるようになりました。
La Musique du Soleilは、演奏会へ足を運ぶためのきっかけ。

お教室の発表会も「ホームコンサート」という名で、
とにかく楽しいものにしたいと思いました。
演奏会そのものを楽しむ。
そして自主性を育みたいとも考えていました。

生徒さん同士でステージ名を考え、
ステージごとに曲順を考えてもらい、
ステージごとにMCを考えてもらう。
私はただ演奏そのものの質を高めるべくレッスンに精を出し、
それ以外の部分は、生徒さんたちに作り上げてもらうようにしました。

また、ブラボーという掛け声を入れることで、
演奏を聴く側にも「楽しさ」が倍増したように思います。
メッセージカードに1人1枚は書くことが根付いたことで、
他の人の演奏を聴く習慣も身に付いたように感じています。
あんな風に弾けるようになりたいとか、
作曲家の名前、曲名など、
自主的に情報が生徒さんたちの内側に取り込まれるようになりました。

お教室内だけでは刺激の足りない子は、
コンクールの参加も経験しました。
これは私にとってもすごい励みになりました。
生徒さんたちの目を開かせるということは、
私自身の目が開かれることでもあるんですよね。

La Musique du Soleil、ホームコンサート、コンクール、
クリスマス会、弾きっこ大会、お教室で貸してあげるCDや本。

すべてが環境作りの一貫でした。
よく「行事が多いって大変でしょう?」と言われるのですが、
そんな大変ではないんです。
それよりも生徒のやる気が芽生えてレッスンしやすくなる利点の方が大きい。
そして、私自身その時々で目が開かれ、
新たな気持ちでレッスンに取り組むきっかけができるので、
いつも新鮮な気持ちでレッスンすることができます。

あれから7年。
毎回弾きっこのたびに工夫を重ね、
毎回ホームコンサートのたびに工夫を重ね、
毎回La Musique du Soleilのたびに工夫を重ね、
ここ2,3年すごく落ち着いたなぁと感じています。
落ち着きどころを見つけたというか。(笑)

7年も経つと、生徒さんたちの生活環境も変化してきます。
これからはそういったことに柔軟に対応していける、
そんな環境作りを目指していかないと、
新鮮さを保つのは無理だろうと感じています。

時は流れている・・・。
無常であることに背を向けずに生きていきたい。
時の流れを感じるって、とても面白い。

今年から弾きっこ大会を年に2回に減らしました。
これでお教室行事が3か月に1回のペースとなります。
3月と9月に弾きっこ。6月にホームコンサート。
12月にクリスマス会。
いいペースだなぁと感じています。

年2回に減らした分自由参加ではなく、
基本的に全員参加という形になりましたが、
強い縛りを設けない気楽なままのスタンスで、
「聴いてコーナー」(人前で演奏する)を充実させていけたら・・・。

今年は周りの様々な変化に、
柔軟に対応していける自分でありたい。

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【私のお教室にある本やCDを一部ご紹介】
のだめカンタービレ 1~12巻セット
ショパン―「ピアノの詩人」とよばれた天才作曲家 学習漫画 世界の伝記
モーツァルト―神童とよばれた天才作曲家
ベートーベン―楽聖とよばれた大作曲家
クララ・シューマン―愛をつらぬいた女性ピアニスト
ブラームス
CD絵本 バッハ
CD絵本モーツァルト
CD付絵本 モーツァルトへようこそ
CD絵本 シューベルト
CD絵本 ベートーヴェン
フランス宮廷の華バロック・ダンスへの招待[DVD]―舞曲のルーツをさぐる
バッハとバロック音楽
ブルーナのすこやかクラシック



emksan at 16:15│TrackBack(0) ピアノ/レッスン 

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