2006年06月19日

全身全霊

お教室のホームコンサート(発表会)が終わりました。
楽しかった!充実した日々を過ごさせていただきました。
毎年全力投球する機会ですが、
今回今までと違った感覚を得ました。

「全身全霊ってこういうことなんだ。」という実感。
なぜだろう?毎年同じようにがんばっているのに。
今回は家に帰ってきて最初に思い浮かんだ言葉が、
この「全身全霊」だったのでした。

なんともいえない充実感と達成感。
そしてこの私の全身全霊を生徒のみなさんに受け止めていただけたという、
暖かなぬくい気持ち。

大人の生徒さんも、子どもの生徒さんも、
ホームコンサートのために一生懸命過ごしてきてくれました。
そして、一生懸命ステージを作り上げてくれました。
美しい音色で豊かな音楽を聴かせてくれました。

でも、今回私が全身全霊という言葉を実感することができたのは、
きっと発達障害のお子さんたちのお陰です。
私のお教室には発達障害のお子さんが10名います。
いつも私に幸せな気持ちを分け与えてくれる、
私のお教室にいなくてはならない大切な大切な生徒さんたちです。

この素直で純粋な生徒さんたちとその親御さんたちが、
お教室を支えてくれているのだと、いつもいつも感謝しています。
ホームコンサートにブラボーという声が大きく響くのも、
彼らの壁のない素直な心があったからこそ。
ホームコンサートが独特なあったかいアットホームさを持っていられるのも、
親御さんたちのほかのお子さんの成長を見守る優しいまなざしと、
発達障害のお子さんたちの素直な言動があってこそなのです。


今回、この中の多くの生徒さんが、
自立したステージを目標に掲げていました。
お母さんと一緒にステージにあがらなくても、
1人でお辞儀ができ、1人で鍵盤を探すことができ、
1人で演奏をはじめ、終わらせることができる。
たとえ途中で間違えたとしても、
1人でそれに対処することができる。

すごい成長です。
こういったことを目標に掲げることができるという嬉しさと、
なんとかやり遂げてくれた生徒さんたち。

お教室に入りたてで、初めてコンサートに参加する子。
会場の下見に来ていても、
当日は照明などにより周りの雰囲気が全く異なります。
そのせいで緊張のあまりリハーサルでパニックになってしまいました。
でも、本番は落ち着いてステージに上がることができました。
とても楽しそうに最後のステージメンバー全員でのおじぎにも参加できました。

2年前には1本指での演奏だった子。
少しずつ2本、3本と増え、とうとう5本指で演奏できるようになりました。
今回は右手5本、左手1本での両手奏でした。
落ち着いてお客様へお辞儀ができ、
最初から最後まで集中して演奏することができました。

小学生の間、発達障害だということに気づかず、
普通学級に通い続けていた不登校気味の子。
養護の中学に入っても、なかなか自分に自信が持てず、
すぐに落ち込んでしまいます。
発表会数日前までレッスンに来られませんでした。
学校へ行けなくなると、ごはんも食べられなくなります。
それでも当日がんばってホームコンサートに来てくれました。
そして、ソロも連弾もちゃんと演奏することができました。

昨年まで鍵盤の位置がわからずに、
鍵盤用シールシートを使っていた子。
今年はたった一人でピアノの前に座り、
シートなしで演奏を始めることができました。
気をつけをしてからの上手なお辞儀。
悪かった姿勢も、ピアニストの姿勢で弾けるようになりました。

数年前には、自分の意見がはっきり言えなかった子。
人に頼りっきりだった子。
その子が、お友達のためにセコンドの演奏をしながら、
プリモを歌ってくれ、プリモの子を支えてくれました。
連弾のための直前のレッスン、当日と、この子を迎えに行ってくれました。
彼女をどんなに頼もしく、頼りに思ったことか。

1,2年前のレッスンでは、
すぐに「イヤイヤ虫」に襲われていた子。
自分で自分をどうすることもできず、
お母さんに背中を叩いてもらって、その虫を取り払ってもらっていた子。
今では落ち着いて30分のレッスンを受けてくれるようになり、
当日は、最初から最後まで落ち着いて1人で演奏することができました。
ハキハキと司会をし、同じステージのお友達の手を繋ぎながら、
ステージ全体を引っぱってくれました。

昨年はじめてのステージ。
おじぎもふにゃふにゃで、お母さんを頼りにしたステージ。
習いたてでテンポが安定せず、
1人では落ち着いてピアノの前に座れませんでした。
今年はお母さんなしでの、妹とお友達とのステージ。
はきはきとした司会、上手なお辞儀でのステージマナー。

今年はたった一人で安定したテンポで演奏でしてくれました。

昨年は指の力もまだまだ弱く、
かかとを床につけられず不安定な足のままで演奏していた子。
今年は指の力もつき、安定した手の形、安定した姿勢で、
柔らかな手首の動きまで見せてくれました。
お友達がセリフを忘れても、しっかりフォロー。
ハキハキとした司会で、お友達とのステージを盛り上げてくれました。

昨年は入りたてで、驚くほど指が弱かった子。
見ていて「イライラするのは当然」と思うほどの不器用さ。
今では上手に靴下も履け、レッスンカバンも上手に閉めることができます。
しっかりと持てなかった鉛筆。今ではしっかりとした文字を書くことができます。
昨年は恥かしがってできなかった自己紹介。
今年は大きな声で自己紹介することができました。
しっかりとした足取りでステージへ上がり、上手にお辞儀をすることもできました。
そして、以前とは見違えるようなしっかりとした音で演奏してくれました。

本当に感動するほどみんなの成長を感じた1日でした。
全身全霊で目標を持ってレッスンしてきた日々。
全身全霊でも叶わないことだってあるでしょう。
でも、昨日は私だけが全身全霊だったわけではありません。
お母様方も全身全霊でした。
生徒たちも全身全霊でした。
みんなが全身全霊で向かえた1日でした。
そして、みんなが目標をクリアできた最高の1日となったのでした。

全身全霊をかけるということは、
こんなにも気持ちの良いことなのだと実感することができました。
こういう機会を与えてくれた、この子たちとの出会いに、
心から感謝しています。ありがとう!!


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emksan at 22:24│TrackBack(0) 障碍&幼児 | ピアノ/レッスン

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この記事へのコメント

1. Posted by jhasumin   2006年06月22日 06:11
初めまして。ぽんちゃんの友達になってもらってありがとうございます。素晴らしい先生ですね!私の身近に、こんなんお金稼ぎよ!といった感じでレッスンしている先生がいて、こんなものなのか・・。と本当にがっかりしていたのですが、この記事を読んで、とてもうれしくなりました。発達障害の生徒が10人・・。大変だと思われますが、がんばってらっしゃるんですね。私も、知能生涯の生徒を持ったことがあります。この記事を読んで、私も反省してしまいました。これからも、またお邪魔します。
2. Posted by 中嶋   2006年06月22日 14:33
>jhasuminさんへ
こんにちは!コメントどうもありがとうございます♪同じピアノ講師の方からのコメント、とてもとても嬉しいです。(*'-'*)
ホント、世の中にはいろんな先生がいらっしゃいますね。でもね、素敵な先生もたっくさんたっくさんいらっしゃると思うんですヨ。私の周りには、ウキウキワクワクしてしまうような、素敵な先生がたくさんいらっしゃいます。
そういう方々との出会いを大切に育んでいければ〜といつも思っているんですヨ。できれば、いつでもそういうウキウキワクワクさせてくださるような先生方の方を向いて生きて生きたいなぁと。嫌な思いをする方は、あまり向かないようにしてるんです。(笑)
是非またいらしてくださいネ!!今後ともどうぞよろしくお願いします。(*^-^*)ゞ